もうまもなく、暑い暑い夏がやってきますね!
学校や幼稚園(保育園)ではプール開きを間近に控え、子供たちがそわそわ、ワクワクしていることでしょう。
でも・・・
「あれっ?これってもしかして・・・」
なんだか体にプツッと円形の丘疹が??
これがあるとプールに入れない?
いや、入れるんだけど「入っちゃダメです!治療してきてください!」と言われることが多いその病気・・・
そう!それは水いぼです!!!!
実は管理人は、皮膚科で看護助手勤務をしております。
その経験も踏まえて、本日は水いぼの治療についてお話したいと思います♪
水いぼってどんな病気?
水いぼは、正式の病名を「伝染性軟属腫」(でんせんせいなんぞくしゅ)といいます。
良性疾患のウイルス感染症の一種で、潜伏期間は症例によって様々です。
小児によく見られるのは、表面がツルっと光沢を帯びたドーム状に隆起した軟らかいしこりです。
中央部が少しくぼんでいるのが特徴とされますが、中にはそうでないものもあります。
大きさは数mm~1cm弱、最大でもエンドウ豆程度で、時間の経過とともにこの発疹が広範囲に数十から数百個にも増える傾向にあります。
つぶすと小さな白い固まりが出てきます。
基本的には小児の疾患ですが、成人でも免疫力の低下の基礎疾患を有する場合や高齢者も発症することがあります。
ただし、希に免疫力の低下の基礎疾患を有していない場合でも発症することがあります。
治療しないと半年から1年持続しますが、ほっといても1年以内に自然に治る確率は95%と高率です。
発症部位は手掌および足底を除く全身で、どこにでも発生する可能性があります。(小児での好発部位は顔面、体幹、四肢。成人では陰部、陰茎、女性の外陰部。)
水いぼの治療法は?
外科的療法
- 積極的療法:ピンセットによる摘除法、液体窒素を利用した凍結手術、レーザー療法、電気焼灼、硝酸銀ペーストの塗布。但し、外科的除去法は痛みを伴うので、事前に貼付用局所麻酔剤を使用する場合もある。
- 消極的方法:スピール膏(サリチル酸絆創膏)を貼付、抗ウイルス薬(ビダラビン)の外用、イミキモドクリームの外用。
外科的治療の一般的なものは、ピンセットで水いぼをピッとつまんで取る・・・というものですが、はっきり言ってこれは結構痛いです。
水いぼを取るピンセットはこういう形をしています。
下の画像は先端を拡大したものです。
芯をつまみやすいように真ん中に穴が開いています。
こんなものでつまめば、そりゃ痛いでしょ・・・ってね。
内科的療法
- ヨクイニンの内服。
ヨクイニンは漢方の一種でウイルス性のいぼの治療にも使われています。
飲んですぐ即効性があるわけではなく、なんとなく効いていく・・・といった感じなので、水いぼが全身に広がってる方、痛い治療を受けたくない方、長期的に治療をしても問題ない方は試してみてもいいかもしれません。
水いぼがあるとプールは入っちゃダメ?
伝染性・・・という名の通り接触感染をする病気ですが、感染力はさほど高くないので、不必要な肌の接触やタオルやビート板の使用さえ気を付ければ大丈夫です。
でも、一応「伝染性」ということもあって「ほかの子に移っては・・・」ということもあり、「プール禁止」を義務付けてる保育園や学校等も結構あるみたいです。
ただ、学校保健安全法では「プール禁止」とはなっていないので、入ったからと言って本来は何の問題もありません。
学校保健安全法で禁止されていないにもかかわらず、見た目で「あ、水いぼがあるね」とわかっちゃうと、施設側から「入っちゃダメ」って指摘を受けてしまう。
そのまま知らないふりをして入ると、ほかの子やその保護者の方に非難を受けてしまう傾向にあるようです。
子供は「プールに入りたい、でも痛いのはいや」という子がほとんどでしょう。
保護者が一番悩む原因の一つに「痛いのはかわいそう」と思いがあるでしょう。
だから悩むのだと思いますが、「痛い治療はさせたくない」とピンセット摘除法以外を選択したときは、治るまでは数日以内のプールはあきらめさせてください。
水いぼが痒くなったりしてとびひになった場合も、プールの塩素自体が肌によくないので治るまでは入らない方がベストです。
水いぼは取る?取らない?
取るか取らないかで迷った時は、水いぼがあると生活に不都合があるのかどうか?を基準に考えてください。
大半の方は不都合=プールに入れないということになるのですが、施設側が「水いぼがあるとプール禁止」しているのであれば、プールに入りたければ治療して摘除するしかありません。
外科的治療のピンセットによる摘除法以外は、比較的時間がかかったり、自費診療で治療費が高かったりします。
「数日以内にプールに入りたい」という方は、やはりピンセットによる摘除法がベストな選択だと思います。
数が少なくて患部が水着で隠れるような場所なら、自己責任の下でつぶれないようにテープを貼ってプールに入る・・・という方法も私はアリかなと思います。
学校保健安全法でプール入水を禁止されていないことを前提に、要は「接触感染を防げればいい」のですから。
だって、風邪ひいてても熱がなければ入る子は入るじゃないですか?
それとあまり変わらないのではないかと思うのは私だけでしょうか?
ただ、いぼにはウイルス性のいぼもあります。
ウイルス性のいぼの場合は自然治癒は困難です。
自然治癒するなら治療は受けない・・・という方も、水いぼとウイルス性のいぼの判断がつけられない方は、念のため皮膚科を受診することをお勧めします。
そして水いぼだった場合、取るか?取らないか?
・・・は、皮膚科の先生はハッキリ言ってどっちでもいいです。
せっかく痛い思いをしても、治療をしたからといって「もう絶対できない!」とも言えないし、治療しなくてもいつの間にか治ってしまうこともあります。
治療したのに次から次に増えていく・・・ということもあります。
こればっかりは個人差がありますので何とも言えません。
外科的治療にはこういうデメリットがあるため、お子さんの状態を見て治療法を決めるのが一番いいと思われます。
なので、治療の選択権は患者さん側にあるということを意識してください。
水いぼのケアと予防法
水いぼで皮膚科を受診する子は、圧倒的に「乾燥肌」の子が多いです。
この乾燥肌・・・というのはなかなか曲者でして、水いぼのほかにもいろんな肌トラブルを引き起こす原因となってるのは周知のとおりです。
乾燥肌をほおっておくと、皮膚のバリアー機能が低下してちょっとした刺激でも痒みを引き起こしやすくなります。
バリアー機能が低下したままだとウイルスが侵入しやすいため、健康な肌の子よりも水いぼになりやすいのではないかと思われます。
なので、日々の保湿ケアが大切になり、それが予防にも繋がります。
水いぼは治りかけの時に痒み症状が現れる場合もあります。
その時に掻き壊したりしないように、爪をきちんと切っておくということも大事です。
爪が伸びていたり欠けていたりすると掻いた痕が傷になってしまいます。
傷ができるとそこからウイルスが侵入してまた水いぼが増える可能性もありますし、掻きすぎてとびひになったりもします。
万が一、痒み症状が出て、無意識のうちに掻いてしまう場合は皮膚科で痒みを抑えるお薬を処方してもらいましょう。
まとめ
水いぼは絶対取ったほうがいいとも言えないし、絶対取らないほうがいいとも言えない・・・治療するべきかどうかの判断がなかなか難しい皮膚疾患のひとつです。
けれど、わが子にとってどの選択がベストなのかをお母さんがしっかり見極めれば・・・さほど難しくはありません。
もし、「水いぼを取る」と決心した場合。
痛みを伴う治療を受けるわが子を見るのは胸が痛むこととは思いますが、病気は治療するものと割り切ってお子さんを説得することも大事だと思います。
では、最後に・・・
皮膚科で水いぼと診断された時の治療の選び方をお教えします♪
- すぐ治療したい・・・という方はピンセット摘除法を選択してください。
- 治療したいけど、どうしても痛い思いをさせたくない・・・という方は、スピール膏か硝酸銀かヨクイニンを選択してください。
- 自然に治るならそれでいい・・・と思った方は、患部をテープ等で覆ってプールに入るとよいと思います。
どの方法を取るにしろ、その治療のメリット・デメリットをしっかり把握し決めてください!
あと補足ですが、ピンセット摘除法を選択した場合、診察中に「絶対にいわない方がいい言葉」があります。
- 子供の前で先生に「治療は痛いですか?」と不安気に聞いてはいけません。
- 子供に「どうする?治療する?」と聞いてはいけません。
- 泣いている子供に対して「ちゃんとしなさい!」と怒って言ってはいけません。
この3つの言葉を発すると、まず診察がスムーズにいきません。
1の言葉の先生の答えは、「痛いです」以外ないです。
2の言葉の子供の答えは、「痛いならしたくない」・・・が8割くらいです。
3の言葉に子供がちゃんとした態度で応えるのは・・・無理です。(だってめちゃめちゃ痛いんですから)
この3つの言葉をお母さんが言うと、そのあと子供が怖がって泣いて暴れて嫌がって・・・、水いぼ摘除の際に先生が非常にやりづらくなる確率が高くなる・・・と私は診察風景を見てヒシヒシと感じました。
どうぞご参考までに・・・。
読んでいただいてありがとうございました♪
コメント
すごくいいことが書いてあるのに、「w」がすごくきになる文面でした。
匿名さん、コメントありがとうございます。
「w」が気になる・・・ということで、文章を読み直してみました。
確かに、読んでいて不快にさせてしまったのでは?・・・と思うところがりましたので、記事を修正させていただきました。
ご指摘ありがとうございました。