乳児湿疹。
それは、赤ちゃんの「ほとんど」が経験するであろう・・・乳児の皮膚疾患です。
ガサガサと粉をふく。
ジュクジュクした汁が出る。
赤みを帯びて痒そうにしている。
乳児湿疹は、「脂漏性によるもの」「乾燥性によるもの」「アレルギー性によるもの」「刺激性によるもの」・・・と原因が様々なので、症状も上記のように様々です。
たいていの場合、小児科か皮膚科を受診し、ステロイドの塗り薬や保湿剤を使って徐々に軽減・緩和していくものなのですが・・・
まれに症状が長く続いたり、悪化したりすることもあります。
あまりに症状がひどいと、ものすごく心配になりますよね。
では、「治らない」と悩んでるお母さんへ質問です。
- 乾燥や湿疹で小児科で受診し、保湿剤のみを処方してもらい使っていた。
- ステロイドの塗り薬を塗っても治らなかったので、病院をハシゴしていた。
- ステロイドの塗り薬を使っていたが、「ステロイドはよくない」と周りが言うのでやめた。
- 始めからステロイドの塗り薬に抵抗があり、治療は全くやっていなかった。
- ネットや知人から情報を集め、あらゆる自然療法を試していた。
- 石鹸は使わないほうがいいと聞いて、お湯とガーゼで洗っていた。
・・・などなど。
上記の項目に当てはまってはいませんか?
実はこれ、「乳児湿疹が治らなくて・・・」と、管理人の働く皮膚科クリニックに受診された方がおっしゃっていた「治らない理由(体験談)」です。
さて、この中の「何が悪くて」乳児湿疹が治らないのでしょう?
その答えは、いたって「シンプル」です!
この記事では、可愛い赤ちゃんの乳児湿疹が早く治るように・・・!
乳児湿疹のケアの仕方を、石鹸の使い方や治療法を交えながらお伝えしていきたいと思います。
早期改善するように一緒に考えていきましょう♪
目次
乳児湿疹は石鹸を使ったほうがいいのか?
乳児湿疹で受診した赤ちゃんのお母さんがする質問の中で、一番多いのがこれです!
ときどき「石鹸は使わないほうがいい」と指導する先生もいらっしゃいますし、ネットでもそういう情報はあふれてるので・・・「使っていいのかどうか?」と迷われた方はたくさんいるのではないかと思います。
ここでちょっと子供の時を思い出してみてください・・・
あえて、わかりやすく「洗顔だけ」を例に取ります。
子供の時、朝晩の洗顔で、石鹸を使っていましたか?(笑)
おそらく、特別なトラブルがある場合(アトピーなど)や、親がスキンケアに非常に熱心だった場合・・・を除いて、大人のように洗顔クリームや石鹸を使っての洗顔はしていなかったと思いますが、どうでしょうか?
顔に洗顔クリームや石鹸を使いだしたきっかけって・・・
思春期あたりで「ニキビが気になりだした」とか「美容に興味が沸いてきた」とかだったりしませんか?
トラブルがほとんどなく思春期を迎えた場合、もしかしたら大人になっても「洗顔なんて超適当・・・」って方もいらっしゃるかもですね。
私自身、少なくとも10代のうちはそんなに念入りに洗顔はしていませんでした。
多少のニキビがあっても「いいねぇ、肌がスベスベで」・・・と周りの大人から言われていたことを記憶しています。
子供は大人よりも皮膚が薄いけれど、水分量が多いので、スベスベな肌のイメージ。
よって、「赤ちゃんは水分量も多いし、石鹸は使わなくとも水(お湯)だけでいいのでは?」
・・・と、思う方も多いのではないでしょうか?
でも、赤ちゃんには石鹸が必要なのです^^
赤ちゃんに石鹸が必要な理由
それは、「大人と同じくらい汚れてるから」です。
「汚れてる」というと「不潔」なイメージですが、そういうことではありません。
赤ちゃんはホルモンバランスが未熟なため、皮脂分泌が上手くいきません。
多すぎたり少なすぎたり、それプラス体温調節機能も未熟なので、何もケアしないでいると自分から出る過剰な皮脂や汗が刺激となって、赤ちゃん特有の乳児湿疹になっていきます。
皮膚の薄い赤ちゃんの肌にとっては、皮脂分泌や発汗のバランスを崩すことはかなりの負担となり、更に「乳児湿疹の予防に」と顔や体に何かしらスキンケアを施していたり、すでに治療中でステロイドの塗り薬や自然療法などで何かしら塗っていたりすれば・・・それは女性のお化粧に当たるくらいの汚れになります。
(軟膏のほとんどは油分が入っています)
何かを塗っていると、顔に花粉やほこりなども付着しやすくなり、きちんと落とさないとそれもまた刺激になります。
さて、ここで、また想像タイム^^
女性の方、お化粧を水(お湯)だけで落としますか?
そんなことを続けていたら、いずれ何かしらの皮膚炎を起こす・・・ということは安易に想像がつきます。
スキンケアをしていない子供や、化粧品を一切使わない大人の男性であれば、多少の汚れは水(お湯)で落とせます。
でも水と油がなじまないように、皮脂は水では落としきれません。
体の中で常にむき出しになっている部分ってどこだと思いますか?
そう、手と顔です。
手は、何かあるとすぐ洗いますよね?(洗わない人もいるかもですが(笑)
でも顔は、ほとんどの場合が朝と晩・・・。
特別汗かいたりすれば、その場でジャバジャバ洗うこともあるかもしれませんが、お化粧をして外出してしまえばそういうことはほぼできません。
では、赤ちゃんはどうでしょうか?
一日の中で、何回も手と顔を洗うことは出来ないこともないですが、逆に赤ちゃんの薄い皮膚に負担をかけることになるし、お母さんにも負担になると思います。
そして、今一度、洗顔を水(お湯)だけでしていた頃を思い返すと・・・おかしなことに気が付きます。
むき出しになっている顔は水(お湯)で洗い、衣服や靴で覆われている手足・体幹だけに石鹸を使っていた!!!(笑)
手足・体幹に石鹸を使うならば、一番外部に晒されて汚れている顔にこそ石鹸を使うべきなのでは・・・!!と思いませんか?
以上の理由から・・・大人が全身に石鹸を使うのが当たり前のことなら、
赤ちゃんの皮脂汚れも、水(お湯)では落としきれないので全身に石鹸を使う必要がある!
・・・ということになります。
どんな石鹸を使えばいいのか?
「石鹸は使ってもいいですか?」の問いかけに「はい、使ってください!」と先生が答えた後、次に来る質問は99%これです。(笑)
「どんな石鹸を使えばいいですか?」
答えは「普通の低刺激性の石鹸」です。
巷で言う「赤ちゃん用」・・・というのは、皮膚科の先生曰く「何をもって”赤ちゃん用”なのかわからない」とのことです。
結局、赤ちゃん用を使ったところで乳児湿疹になって受診される方ってたくさんいらっしゃるんです(笑)
石鹸をあれこれ試す・・・のもひとつの方法ですが、ここはシンプルにいきましょう。
無添加!
無香料!
低刺激!
そして、意外にも「固形」の石鹸がいいらしい・・・。
泡立ち式や液体のほうがお手軽だし、「きめ細かい泡だからいいのでは?」と思いがちなのですが、スベスベ潤い成分など余計なものが入ってるため、石鹸が落ちてないんだか潤い成分のせいでぬるぬるしてんだか・・・が非常に分かりづらいとのこと。
なので、よく泡立てた固形の石鹸のほうが、泡切れがよく、すすぎ残しが少ない・・・ということです。
メーカーは・・・というと、余計な成分が入っていない洗浄力の強すぎないものならどこでもよいのですが、安心なのは「昔から根強く残っている石鹸」です。
モーッとなく動物がメインキャラの石鹸とか、屋根まで飛ぶ綺麗な泡がメインキャラの石鹸とか・・・(笑)
ぜひ、無添加のものをチョイスしてみてください!
出来れば、お母さんも一緒に「使い心地」を試してみてくださいね!
何を使って洗えばいいのか?
さてさて・・・
使う石鹸は、特に「赤ちゃん用」表記は必要なく、「無添加・無香料・低刺激」で固形のものを選べばよい・・・ということをお伝えした後に、次に来る質問のだいたい80%はこれ!(笑)
「何を使って洗えばいいのか?」
もしくは
「ガーゼを使って洗っていいのか?」
・・・です!
この答えは「手で優しく洗ってください」です。
ひとつ前の項目で述べたとおり、赤ちゃんの皮脂汚れは「お化粧した女性と同じくらい」の汚れと考えてください。
でも、お化粧ってクレンジング剤を使って、手で優しく落としていませんか?
お化粧汚れをまれに「クレンジングコットン」や「洗顔スポンジ等」で落とす方もいらっしゃるでしょうが・・・、大人であっても「手以外で洗顔すること」は皮膚科的にはおススメしていません。
先ほども述べましたが、赤ちゃんの肌は大人よりも薄くてデリケートです。
大人の化粧汚れは手で洗うのに、赤ちゃんの顔はガーゼで洗う・・・ということを考えると、ガーゼってそんなに必要なものではないように感じませんか?
少々丈夫になった大人の顔をスポンジや布でこすることは100歩譲ってよしとしても・・・、赤ちゃんの薄い薄い皮膚にガーゼでこするということがどれだけの刺激になるか想像してください。
おそらく、大人がナイロンタオルで顔をこするくらいの感覚なのではないか・・・と思います。
更に乳児湿疹が出ている赤ちゃんの皮膚は、炎症が起きているために、より一層バリアー機能が低下している状態です。
無理にガーゼでかさぶたや粉を落とそうとするのは、弱った肌に刺激を加える行為となり逆効果です。
症状がひどいうちはもちろん、日ごろから優しく優しく洗うように心がけてください。
そして、かさぶたは無理にはがさず、自然に剥げ落ちるのを待ってください。
化粧落としを「力いっぱいゴシゴシやっちゃダメ!」というのと同じで、赤ちゃんの皮脂汚れも、石鹸を使いさえすれば「優しく洗うだけ」で十分なのです。
ガーゼを使うのは「大人の洗面器代わり」程度に考えるといいでしょう。
「洗う」のは既に「手」で済ませています。
ガーゼを使うときは、
「こする」ではなく、
「なでる」よりも優しく、
「かける」感じで使う・・・といいと思います。
石鹸の泡が残らないように・・・綺麗に洗い流してくださいね。
乾燥性の乳児湿疹にも石鹸は必要なのか?
よく、脂漏性の乳児湿疹には石鹸は必要で、乾燥性の乳児湿疹には石鹸は必要ない・・・と耳にしますが、あまり分けて考える必要はないと思います。
石鹸を使う。
そして乾燥している場合は保湿。
さらに、たとえ乾燥が目立たなくとも、「皮脂や汗からお肌を守るため」「衣服のこすれや乾燥した空気など外部刺激からお肌を守るため」に、お風呂あがりの赤ちゃんには保湿をしておいて間違いはありません。
乳児湿疹にステロイドの塗り薬は必要か?
さて、次は治療法の面から乳児湿疹のケアを考えてみましょう。
乳児湿疹で受診された患者さんとのやり取りの中で、「赤ちゃんにステロイドの塗り薬を使うことに不安を感じて、お母さんが処方を拒む」という光景は日常茶飯事です。
小児科では保湿剤しか処方されなかった・・・でも治らない。
だから皮膚科を受診したのに、いざステロイドの塗り薬が処方されると全身で否定する。
そういう光景を診察室で目の当たりにすると、厳しい意見になりますが「じゃあ何しに皮膚科にきたんだろうか?」と思ったりします(笑)
皮膚科を受診したら、湿疹や炎症がある場合はわりと高い確率で「ステロイドの塗り薬」が処方されます。(症状によって違う塗り薬が処方される場合もあります)
塗り薬を拒否されるお母さんは、ネットの情報や取り巻く環境で「ステロイドの塗り薬は毒だ!」という意見に振り回されているような気がします。
そうは言いながら、実は管理人も「薬は毒だ!派」でした。(笑)
自然療法で治療すること自体が悪いとは言いませんが・・・。
自然療法かステロイドの塗り薬か・・・どちらがよく効いたかは個人差もあり、何よりも結果論でしか語れません。
そして、「私は薬をやめてこっちにしたら改善した!」という人の意見も、これまた結果論に過ぎず、わが子にとっては「正しいかどうか」はやってみないとわかりません。
そういうこともあり、乳児湿疹にステロイドの塗り薬が必要かどうか?の答えは、一概にはYESとも言えないし、NOとも言えない。
ここで、ステロイドの塗り薬を肯定し、自然療法を否定したり、その逆の発言をするのは簡単なことなのですが・・・
結局のところ、「どの治療法を選択するのか?」は自己責任であるため、どちらがいいかは微妙なところです(笑)
炎症を起こしている期間(肌がダメージを受けている期間)が長ければ長いほど、炎症細胞は皮膚の奥底でくすぶり続けます。
肌が傷ついた状態のままでいると、そこからアレルギーも侵入しやすくなることは医学的にもわかっているそうです。
ステロイドの塗り薬の一番のメリットは「ダメージを受けている期間を短くすること」。
症状が続く期間が長い・・・ヒリヒリ感や痛みや痒みが辛い状態が続くことは、赤ちゃんにとってはストレスになります。
「その期間をできるだけ短くしてあげたい」と思いませんか?
乳児湿疹を悪化させないポイントは?
日常生活をあれこれ気にすることは、育児に追われるお母さんにかなりのストレスになることも・・・診察中によく耳にする意見です。
「治らなくて赤ちゃんもつらい、お母さんもつらい・・・じゃあ、もうお薬の力を借りて、シンプルにやっていきましょう!」
- 塗り薬は正しく使う!
- 使った薬剤と一日の汚れは、石鹸できちんと落とす!(&保湿)
ポイントはこのたった2つなのです!
湿疹の中には、真菌が原因であるものもあります。
たとえ、「以前処方してもらったステロイドの塗り薬を常備している」としても、
安易に使っては逆に悪化する場合があるので、ぶり返したときはその都度皮膚科に行き症状に合ったお薬を処方してもらいましょう。
2つのポイントのうちの1つ、「塗り薬を正しく使う」ということは、
=「自己判断でステロイドの塗り薬を使わない」
ということにつながります。
「ステロイドの塗り薬を使っても治らない!」と言われる方や、「ステロイドの塗り薬は怖いから塗りたくない!」と言われる方も・・・中にはいらっしゃるかもしれません。
そういう方は、お時間あればこちらの記事も合わせて読んでみてください^^
赤ちゃんの湿疹にステロイドの塗り薬を使って大丈夫?副作用Q&A
早く症状を取ってあげる。
炎症状態を出来るだけ短くしてあげる。
赤ちゃんの「”今”の辛い症状を軽減させること」にポイントを置いて「ステロイドの塗り薬を使うかどうか?」を考えれば・・・どちらを選ぶかは見えてくるのかなと思います。
ステロイドの塗り薬が必要か?の問いかけに、あえてYESとは言いませんでしたが・・・
「薬は毒だ!」と思っていた管理人が、皮膚科に勤務するようになって・・・「ステロイドの塗り薬を使ったほうが、経過が一番良いのではないか?」と思い直したのは事実です。
乳児湿疹のケアのまとめ
- 洗顔の仕方が正しいのかどうかわからない。
- 薬を塗っているのに、乳児湿疹がなかなか治らない。
- 「この商品はいいよ」とお友達に勧められて、同じように使っているのに悪化した。
- 治ったと思ったらまた出てくる。
そんな風に、悩んだり不安になるお母さんは・・・とても多いのではないでしょうか?
乳児湿疹の原因は「ホルモンバランスの乱れによる皮脂分泌の異常」が大きなウェイトを占めています。
続いて「赤ちゃんの発達が未熟なこと」によって、乾燥や新たな湿疹などの症状が現れたり・・・と、原因がなくならない限り、治ってもまた出てきます。
それは、ぶり返してるのではなく、皮脂分泌のバランスや体温調節や発汗のバランスが整うまでに「個人差」があるだけのこと。
それさえきちんと理解していれば、必要以上に悩んだり不安になることはありません。
治療法は「病院を選択するのか?」「自然療法にするのか?」の二択。
ふたつの方法の共通点は、
皮脂分泌のバランスが治まるまで、良かったり悪かったりを繰り返すこともありえる!ということ。
あまりに治りが悪いと「母乳やミルクからのアレルギー」や「ハウスダストや動植物など外部侵入は原因のアレルギー」を疑いがちですが・・・、
アレルギー性の湿疹の場合は、目の周りだけが経過が悪いことがわりと多いらしいです。
さらに、アレルギー性の湿疹の場合は、原因になっている日常生活(衣食住)が変わらない限り、ステロイドの塗り薬を塗っても経過が悪かったりします。
なので、両親ともアレルギーがあったりしてアレルギーが心配な場合は、乳児湿疹が現れた段階で、早めに皮膚科を受診したほうが無難ではないかと思われます。
今ある乳児湿疹が「何が原因で起こっているのか?」を知ることは、病院での治療を選択する方はもちろん、自然療法を選択する方にとっても「あって損はない情報」だと思います!
病院に通ってる方・・・。
良くなったり悪くなったりするようなことがあっても、ステロイドの塗り薬を含め、お薬の使い方を明確にしてくれるお医者さんのもとであれば大丈夫!
最後まで信頼してきちんと通ってくださいね。
自然治療をされている方・・・。
軽度の場合は、おそらくきちんと洗顔・保湿していれば、たとえ時間がかかったとしても、皮膚分泌のバランスが取れるようになるにつれて改善していくと思います。
外部からの刺激を出来るだけ少なくして、優しい洗顔と保湿と清潔を心がけケアしてあげてくださいね。
但し・・・、悪化した場合は、少しでも状態が良くなる手段として「皮膚科受診」も選択肢に入れてみてください。
赤ちゃんが辛い時期はなるべく短いほうがいいです!
悪化すれば、掻き壊したところから「とびひ」になったり、痛みや痒みがひどくて不機嫌な状態が続いたり・・・と、かなりつらい状態になってきます。
ちょっとだけお薬の力を借りて、改善したらまた自然療法に戻す・・・
・・・悪化させないためには「そういう方法もありかな?」と管理人自身は思います。
間違った使い方をしなければ、赤ちゃんに処方する「軽いランクのステロイドの塗り薬」は決して毒ではありません!
最後に・・・
赤ちゃんの全身は「石鹸を使って優しく手で洗い、そして保湿すること」を心がけてくださいね。
読んでいただいてありがとうございました♪